赤ちゃんから小学生の時期にかかりやすい、小児科領域でよく見かける病気を説明します。
それぞれの病気の詳しい原因や症状、ポイントなどがわかります。
お子様の気になる症状があれば、早めに受診することをおすすめします。
インフルエンザ
原因
オルソミキソウイルス
A型 ソ連型(H1N1)→A/H1N1-2009pdm
アジア(H2N2)、 香港(H3N2)
B型、C型
潜伏期間
潜伏期(48〜72時間)、冬期に流行
症状
高熱・筋肉痛・関節痛・全身倦怠、有熱期間 2〜5日
診断
迅速診断が可能
治療
インフルエンザ予防注射
抗インフルエンザウイルス薬
タミフル(経口)、 リレンザ(吸入)
イナビル(吸入)、 etc
合併症
肺炎・中耳炎・脳症
RSウイルス感染症
原因
パラミクソウイルス
潜伏期間
4〜6日、11月〜3月の冬期に流行
症状
鼻水・咳・発熱
2〜7ヶ月乳児は細気管支炎・肺炎の症状を起こし、重症化の可能性もある。
小児期は、気管支炎の症状
診断
鼻水を検体として、迅速診断が可能(1歳未満の乳児)
治療
対症療法
※未熟児ハンディキャップ児には、シナジス注(抗RSウイルスモロクーナル抗体)
A群溶連菌症
原因
溶連菌(A群β溶血性連鎖球菌)
潜伏期間
2〜5日、冬期に流行
症状
咽頭痛・高熱・嘔吐・良性扁桃炎・苺舌
発疹が出れば、しょうこう熱
診断
迅速診断キットで10分くらいで診断可能
治療
ペニシリンまたはマクロライドによる治療
10日間服用が大切
合併症
リューマチ熱(心臓弁膜症が起こる)、急性腎炎
水痘(水ぼうそう)
原因
VZウイルス
潜伏期間
10〜21日
症状
発熱・発疹(紅斑→丘疹→水疱→痂皮)
各ステージ不規則に混在、粘膜疹もある
診断
迅速診断が可能
治療
バラシクロビル(バルトレックス)
予防注射あり(任意接種)
伝染性紅斑(りんご病)
原因
ヒトパルボウイルスB19
潜伏期間
10〜20日、1〜7月に多い
症状
皮疹、slapped cheek(ほほ)
四肢伸側のレース状、網性紅斑
治療
対症療法
合併症
子宮内感染(胎児水腫→死産)
※発疹が出ない無症候性感染も多い
突発性発疹
原因
ヒトヘルペスウイルス(HHV-6及びHHV-7型)
(2回かかることがある)
潜伏期間
10日、季節はない
0〜1才の間に99%が感染
症状
発熱(高熱3〜4日),永山氏斑(口内疹)が特徴的
解熱後発疹・下痢・不機嫌になる。
合併症
熱痙攣
百日咳
原因
百日咳菌
潜伏期間
7〜10日
症状
カタル期(1〜2週間)
感冒様症状・せき, 痙咳期(3〜6週)
連続的の咳発作(staccato)
吸気性笛音(whoop), 回復期(6週以降)
治療
予防注射が大切(三混・四混)
合併症
乳児は重症となりやすい
麻疹(はしか)
原因
パラミキソウイルス
潜伏期間
10〜12日
症状
感染力がきわめて強く、免疫のない人は100%感染
カタル期(3〜4日)発熱・鼻汁・せき・結膜炎・口内粘膜疹(コプリック斑)
発疹期(4〜5日)再発熱(二峰性熱型が特徴)
発疹(紅斑性丘疹・癒合傾向あり)
回復期(3〜4日)解熱・発疹退色・色素沈着を残す
診断
PCR(咽頭ぬぐい液・血液(EDTA)尿etc
血清学的診断IgM→保健所へ届け出が必要
治療
MRワクチン
合併症
肺炎・脳炎など合併症多い
流行性耳下腺炎(ムンプス)おたふくかぜ
原因
パラミキソウイルス
潜伏期間
12〜25日
症状
軽度〜中等度の発熱
耳下腺・前顎下腺腫脹・疼痛
(両側性70〜80%)
合併症
髄膜炎(1〜10%)
いったん解熱した後に再発熱・頭痛・嘔吐
難聴・睾丸炎・卵単炎
※鑑別:慢性再発性耳下腺炎
マイコプラズマ肺炎
原因
肺炎マイコプラズマ
潜伏期間
2〜3週
症状
夜間〜明け方のから咳 発熱は一過性
診断
PCR法
RA法(IgM抗体)のペア血清 4倍以上の上昇
(一回では320〜640倍の位であればほぼ確信できる)
治療
クラリシッド・オゼックス等
川崎病(小児熱性皮膚粘膜リンパ節症候群MCLS)
原因
原因不明の血管炎を起こす疾患
診断・症状
乳幼児(4才以下)
5日以上続く発熱,両側結膜炎
口唇の紅潮・いちご舌・咽頭高度発赤,発疹
手足末端の硬性浮腫→指炎からの模様落屑
頚部リンパ節腫膿
心エコーによる冠動脈瘤の証明・心電図変化
治療
アスピリン,免疫グロブリン
※専門医による治療、経過観察が必要
風疹
原因
風疹ウイルス
潜伏期間
14〜21日
症状
発熱と頚部(特に耳介後部)のリンパ節腫大
発疹・結膜炎が特徴
診断
gM抗体の測定 (ペア血清が望ましい)
治療
対策療法
MRワクチン
合併症
節炎・脳炎・血小板減少症
先天性風疹症候群(三大症状心奇形・難聴・白内障) ※妊婦、妊娠を希望する女性は注意が必要
アデノウイルス感染症
咽頭結膜熱(プール熱)
原因
アデノ3型
潜伏期間
5〜7日
症状
発熱、咽頭炎、結膜炎
診断
迅速診断が可能(結膜炎、胃腸炎症状時も同様)
流行性角結膜炎
原因
アデノ37型,3型
潜伏期間
5〜7日
症状
高熱、角結膜炎
※角膜の障害による視力障害が残ることがある。
眼科受診が必要。
胃腸炎
エンテロウイルス感染症
手足口病
原因
コクサッキーA16型 エンテロ71型
潜伏期間
2〜5日
症状
発熱は10% 37℃台で1日程度
特徴は皮疹・粘膜疹
診断
迅速診断が可能(ヘルパンギーナ、アポロ病時も同様)
ヘルパンギーナ
原因
コクサッキーA群
潜伏期間
2〜5日
症状
急な発熱 2〜3日口内発疹
急性出血性結膜炎(アポロ病)
感染性胃腸炎
原因
ウイルス性:ロタウイルス・ノロウイルス・アデノウイルス等
細菌性:カンピロバクター・サルモネラ・病原性大腸炎
1)ロタウイルス胃腸炎(嘔吐・下痢症・白痢ともいう)
潜伏期間
約2日、冬期に多い
症状
6ヶ月から2才児に多く見られ 嘔吐・発熱につづいて激しい下痢を来たし脱水を起こしやすい。
(1週間続くこともある)
診断
白色の下痢便が特徴
検便にて迅速診断可能
予防注射(任意)あり
2)細菌性腸炎
治療
便検査により原因菌の確定、抗生物質が必要なこともある